PAPSメルマガ vol.68 伊藤詩織さんの民事裁判を支援する「Fight Together With Shiori」(FTWS)立ち上げ
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PAPSメルマガ vol.68 伊藤詩織さんの民事裁判を支援する「Fight Together With Shiori」(FTWS)立ち上げ集会に寄せて


※伊藤詩織さん事件の経過

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190422-00560256-shincho-soci&p=3 

2019年4月10日(水)に東京都文京区シビックセンターにおいて伊藤詩織さんを支援する会が発足いたしました。ぱっぷすでは、この集会で連帯の挨拶をいたしました。メルマガでも私たちのメッセージを分かち合いたいと思います。

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 みなさんこんばんは、ぱっぷす(ポルノ被害と性暴力を考える会)の金尻カズナです。

 ぱっぷすは、リベンジポルノ・児童ポルノ・性的な盗撮・グラビアやヌード撮影でのトラブル、アダルトビデオ業界や性産業に関わって困っている方など性的搾取や性暴力の相談支援をしている非営利団体です。相談支援の一環として、本人訴訟を含む裁判支援も行っています。

 現在、ぱっぷすが取り組んでいるAV出演被害者相談支援は、一昨年度から行政主導により「4月はAV出演強要・「JKビジネス」被害防止月間」のキャンペーンが張られ、行政の政策課題にもなり、少しずつ社会的な認知を得られるようになってきました。

 ぱっぷすの相談支援活動は、ある1人の相談者がぱっぷすに「助けてほしい!」と訴えてきたことから始まりました。

 その方が声を上げ、事件が報道されたことで、これまで声を上げられず自分を責めていた方たちが「これって相談しても良い事だったんだ」と思えるようになり、多くの方は「こんな相談先があることを知らなかった」と言って相談に来られるようになりました。

このようにたった一人の相談者の声によって、新たな相談者が繋がっていくポジティブな連鎖が生じました。

 ぱっぷすには、昨年度は120件ほどの性的搾取(AV製作現場で起きる被害、動画を拡散される被害、性風俗にまつわる被害、中高生がSNSを通して被る被害等)にまつわる相談が寄せられました。

 デジタル化によって拡散するアダルトビデオの中にこれだけ多くの被害があることを証明できたのは、先ほどお伝えしたたった1人の方の“相談する”という行動からでした。今振り返ると、この方は警察ではあなたにも落ち度があったと自己責任を求められ、裁判の過程では加害者側の誹謗中傷にも耐えておられました。今後は、二次的被害の経験が繰り返されることがないように、声を挙げた相談者を決して孤立させないこと、寄り添い伴走することが、何よりも大切だと思います。

 私が見ている相談の現場では、加害者側は裁判制度を用いて、被害者に対し100万~2400万円の損害を支払えと不当な要求をしてきます。20代の女性にとって、到底支払えない額です。ある方は「年齢差のある大の大人を相手すること自体が怖かったし、相手方の弁護士も怖かった」と述べていました。法外な金額であるほど被害者にとっては闘う力を削がれます。詩織さんも、恐怖のなかで生活をされているのではないかと思っています。でもどうか、金額はあまり気にしないでください。

 応援している弁護士さん達が良い助言をしてくれることと思います。ぱっぷすも応援していますので、力になることはしたいと思います。

 加害者側弁護士は、訴訟を提起すれば、裁判所から被害者の自宅に訴状が届くことを知っています。被害者の方の立場で考えれば、自宅住所は絶対知られたくないという力が働きますが、それを逆手にとり、加害者は被害者の住所を知っているぞと、加害者の優位性を見せつけてきます。それだけでも、恐怖と、気持ちわるさと、複雑な思いに陥られることと思います。

 今回の裁判での、加害者の請求額は「1憶3000万円」を超えていると聞きました。法外な金額を請求すること自体、たとえ加害者側弁護士がスラップ訴訟という認識がなかったとしても、「詩織さんのみならず詩織さんと同じ立場の方に対して威圧的効果を与える」わけですから、到底容認することはできません。今回の反訴について、加害者側弁護士がしたことは弁護士の品位に欠く行為でもあり、このような法外な金額の助言をした加害者側弁護士も決して許してはいけません。懲戒されるべき事案ではないかと思っています。

 これは、勝たなければならない裁判です。絶対に一人にならないよう、みなさん、新たな決意のもとでやっていきましょう。ボランティアの弁護士さんもいると思いますが、請求額が高額になれば弁護士に支払う着手金も高額になります。今、私にできることは、裁判費用のカンパだと思います。ぜひ、みんなで支えあい、負担をわかちあいましょう。

 最後にメディアの方に伝えたいことがあります。

 詩織さんの事件について、メディアは当初、週刊誌等で大きく大衆の興味や関心をあおるように取り上げていました。しかし、最近のメディアは無関心の状態が続いています。正義の反対の言葉は、悪ではありません、社会的な無関心です。

 ぱっぷすのAV被害者相談支援の取り組みの経験からいっても、メディアには声を挙げられずにいる社会問題に光を当て、声を拾い、“無関心”を“関心”に変える力があると思います。メディアはぜひ頑張って継続的に報道し続けてほしいと願います。


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