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「わいせつ」から「性的人権」へ視点の転換

 すでに明らかにした「制作被害」では、実際にレイプされ、殴られ、蹴られ、ゲロを吐きかけられ、拷問され、罵声を浴びせられている被害者がいます。そして騙されたり脅されたりして、ポルノに出演させられている被害者がいます。

 

 「流通被害」では、自分の性的被害や性的プライバシーが一方的に公開され、娯楽とされ、物笑いの種とされている被害者がいます。「消費被害」では、ポルノを日々押しつけられ、またポルノによって影響された人物によって実際にレイプされ、セクハラされる被害者、大人によって性的に扱われる子どもの被害者がいます。

 

 「社会的被害」では、性差別的な内容の性的写真や絵を見せつけられ、女性ないし同性愛者ないし性転換者としての性的尊厳を傷つけられ、その平等な地位を侵害される被害者がいます。「存在被害」では、日々、恐怖と恥辱に耐えながら生きている被害者がいます。

 

 これらはすべて単なる「表現」ではなく、生きた人間に対して起こっている具体的な被害であり、具体的な被害者です。このような具体的被害が存在するかぎり、その被害を防止し、被害者を救済する取り組みが必要になります。そのためには、そうした被害を被害として認識するための適切な人権概念が必要になります。

「性的人権」への視点の転換

では、具体的にどのような人権概念が、どのような「性的人権」概念が必要なのでしょうか? 私たちは、「性的人格権」と「性的平等権」という2つの新しい人権概念を提唱しています。これらの人権概念は、ポルノ被害に対処しうるだけでなく、他のあらゆる性暴力被害にも適切に対処しうる基本的な「性的人権」概念です。

 まず「性的人格権」とは、性的なものが人の人格や尊厳の核心に位置しているという考えにもとづいています。レイプが許しがたい犯罪なのは、貞操が侵害されたからでしょうか? それとも、未払いの性労働だからでしょうか? いえ違います。その人の性的な人格性と尊厳が深く傷つけられ、蹂躙されたからです。

 

 また、レイプは女性という社会集団を性的に従属させ支配する行為でもあります。そこで侵害されたのは、女性という集団が平等な人間として扱われる権利です。私たちはこれを「性的平等権」と呼んでいます。

 ポルノ被害においても、被害者はこの2つの権利を侵害されています。まず、被害者は、個人としてその性的人格権が侵害され、女性という集団の一員としてその性的平等権が侵害されています。

 

 社会的な性的平等とすべての人々の性的人格の尊重という観点から、教育啓発の推進、法の整備、被害者への支援体制づくり、加害者の再教育と更生などの総合的な対策に取り組む必要があります。

 

 すでに明らかにした「制作被害」では、実際にレイプされ、殴られ、蹴られ、ゲロを吐きかけられ、拷問され、罵声を浴びせられている被害者がいます。そして騙されたり脅されたりして、ポルノに出演させられている被害者がいます。 「社会的被害」では、性差別的な内容の性的写真や絵を見せつけられ、女性ないし同性愛者ないし性転換者としての性的尊厳を傷つけられ、その平等な地位を侵害される被害者がいます。「存在被害」では、日々、恐怖と恥辱に耐えながら生きている被害者がいます。

 

 これらはすべて単なる「表現」ではなく、生きた人間に対して起こっている具体的な被害であり、具体的な被害者です。このような具体的被害が存在するかぎり、その被害を防止し、被害者を救済する取り組みが必要になります。そのためには、そうした被害を被害として認識するための適切な人権概念が必要になります。

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