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意に反して拡散した
性的画像の削除要請

不法にアップロードされ、拡散された性的な画像や映像について、相談者から「自分でネット検索をして画像や動画を探し出すことは、精神的に非常に辛い。なんとかならないでしょうか?」という要望が多く寄せられています。

ぱっぷすでは、2017年12月からデジタル性暴力を受けた直後から、被害者および被害者家族を支援する一環として、被害者自身がインターネット上で拡散された性的画像や動画を探し出す(この行為自体が二次被害となりうる)ことなく、削除要請を行うサポートを提供しています。

 

また、相談者が希望する場合には、刑事事件化に関する支援も同時に行っています。性的画像や動画はインターネットを通じてグローバルに拡散するため、国際的な民間団体との連携(海外のNGOやプロボノ弁護士など)を活かして、国境を越えた被害救済にも対応しています。

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ぱっぷすが行う削除要請の流れ

  1. ​基本的に無料でサービスを利用することができます。​​​​

  2. ぱっぷすと面談を行い最適な方法を一緒に考えていきます。

  3. 女性スタッフが定期的に巡回しています。

  4. ​削除要請をする際は自動的に証拠の保全を行います。

  5. ​サイト管理人・サーバーの運営会社に対し現地の言語で削除要請を行います。

  6. ​スタッフの削除要請の結果をAI(機械学習)に学習させます。

  7. ​AIが24時間に巡回し、当該画像がアップロードされてないか探し出します。

ご面談・ご面接について

相談をお寄せいただく方の環境や人間関係は、それぞれ異なります。デジタルタトゥとしての苦しみもそれぞれ異なります。学校や知人に知られてしまい、通いづらくなるといった悩みを抱える方も少なくありません。そのため、最初の悩みだけでなく、このような問題も一緒に考えていきます。


一度でもデジタル性暴力の被害にあうと、常に誰かに性的な映像が見られているのではないかという恐れから精神的な不調を訴える方が多くいるのも特徴です。
一人で抱え込まず、悩みを共有することがとても大切です。

​面談は、東京都渋谷区もしくはZoom(オンライン)で行っています。

2023年度の削除要請結果について

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2023年度の削除要請件数は16,526件で、内訳は削除済「9,367件」(56.7%)、一部削除「733件」(4.4%)、現存「6,360件」(38.5%)、保留「59件」(0.36%)継続中は「7件」(0.04%)でした。

ぱっぷすの強みは協働※です。AV出演被害など、削除要請を第三者に依頼しても消えなかった方の対応が多いことから削除率は約6割となっています。児童ポルノ・リベンジポルノなどであれば高い確率で削除されています。海外のNPO・NGO・海外の地域のプロボノ弁護士と連携しながら対応していきます。

対応しにくい海外サイトに対して、個別に英語で削除要請をしています。具体的には、繰り返し削除要請を行っても削除されなかったホスティングサーバーに対して、複数の相談者が意に反した性的画像記録が載せられていることを海外のホスティングサーバーに通知文を送ることで、サイトごと停止に追い込むことができたケースもあります。

※協働とは、それぞれの主体性や自発性を発揮しながら、お互いの立場や特性を認識・尊重しながら、共通の目的を達成するために協力・協調することを指します。

ぱっぷすの強みについて

ぱっぷすでは、削除要請などを通じて得た加害者の実態について分析し、必要な法整備を政府や立法府に提言活動をしています。2022年6月 AV出演被害防止救済法の成立に関わりました。​2023年7月には、性暴力被害の実態に即した刑法性犯罪改正を求める「刑法改正市民プロジェクト」を通じて、性的姿態等撮影罪・映像送信要求罪の成立について関わることができました。

​ぱっぷすと同じ価値観を有する海外の団体とも連携し、ポルノ動画投稿プラットフォームの責任の所在を明らかにしています。

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2022年5月 衆議院厚生労働委員会参考人

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ぱっぷすの削除要請システムについて

ぱっぷすでは、2019年度に公益財団法人三菱財団から助成を受け「意に反して拡散した性的画像の削除要請システム」を開発しました。このシステムは、本人の意思に反してインターネットで広まった性的な画像を早く見つけ出し、その削除を依頼することを目的としています。また、今後の拡散を防ぐための対策も行っています。現在では、最新のAI技術(顔認識技術)を活用し、実際の削除要請でこのシステムが運用されています。

ステップ1

削除要請スタッフのために開発されたシステムを使って、相談者の画像や動画が含まれているウェブページから、それらを取り出しています。この作業は、HTMLのコードを分析するのではなく、Selenium WebdriverというツールとChrome DevTools Protocolを使って、ウェブページのネットワーク通信を監視し、漏れなく正確に画像や動画を抽出しています。

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写真はイメージ画像です

ステップ2

これまでに削除要請を行ったポルノ動画投稿サイトのドメイン情報1.7万件がデータベースに蓄積されています。このデータベースを使って、最も効果的な削除方法を確認し、削除要請を行っています。過去の削除要請結果から、そのサイトが削除に応じるかどうか事前に分かります。削除に応じないサイトに対しては、海外のホットラインセンターやプロボノ弁護士事務所と国際連携を行い、削除を進めています。

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ステップ3

児童ポルノ・リベンジポルノ・AV出演被害や盗撮などに対応するため、それぞれの通知文のひな型を作成しています。まず、ステップ1で削除したい画像や動画のURLを追加し、それが通知文に自動的に組み込まれます。通知先がメールであれば、送信ボタンを押すだけで簡単に送信できます。もし、問い合わせフォームに入力が必要な場合は、必要な情報をコピーして貼り付け、送信します。

送信後、AI(機械学習)がどの画像や動画の削除要請を行ったかを学習します。削除要請を繰り返すことで、AIが対象となる画像を自動的に見つけられるようになり、効率的に削除依頼ができるようになります。

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AI(機械学習での検索)について

削除要請を担当するスタッフの負担を減らし、ぱっぷすに寄せられる相談が増える中で効率的に対応するために、これまでCNN(畳み込みニューラルネットワーク)を使った独自のモデルで被害者の画像を特定していました。しかし、精度に限界があったため、特に顔認識の精度を向上させるために、新しいモデル(RetinaFaceや他の軽量モデル)を採用しています。これにより、顔の角度を調整する機能を追加し、検出された顔が被害者かどうかを相談者の顔データベースと照らし合わせるシステムを開発中です。

ステップ4

顔検出モデル(RetinaFace)を用いて、画像から特徴を見つけて顔部分を抽出します。もし顔が斜めを向いている場合は、その顔を補正して正面を向くように調整します。これにより、より正確な検出が可能になります。

​検出精度の向上を図るため、当該画像であったとしても使用しないを選ぶこともできます。

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サンプル用に用意したスタッフの写真です

ステップ5

右のケースでは登録されている画像が25枚と少ないため、被害者の画像をランダムに分けた後、色調や左右反転など画像に少しの変換を加えて増やして登録します。

​その後、Tensorfl ow の Keras ニューラルネッ トワークライブラリ(https://keras.io/)を用いて、 畳み込みニューラルネットワークの手法で学習さ せます。

 

学習されたモデルを用いて画像を判定させることにより、まだスタッフが発見できていな い目視確認がされていない未発見の画像を探し出すことができます。

機械学習による画像の判定に は CPU と GPU が搭載されたディープラーニン グに最適なサーバーを使用し、処理速度の高速化 を図ります。

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ステップ6

​ウェブを巡回して当該画像が掲載されているページを探していきます。見つかればスタッフに通知をします。機械学習により95%の確率で当該画像だと判断が出来た場合は、ピンク色でお知らせします。その後、ぱっぷすのスタッフがステップ3の削除要請を行います。

サンプル用に用意したスタッフの写真です

ステップ7

ぱっぷすの削除要請では、スタッフは相談者と密に連絡を取り対応しています。


削除要請を行うごとに、​控えのメールをお送りしています。削除の状況についてご質問いただければ、状況を分析して回答することを心がけています。

1年に一回継続の意思確認のメールをお送りしてます。ご連絡がとれなくなった場合や終了ご連絡いただくまで無料で使い続けることができます。

 

​どうか、独りで抱え込まないこと、悩まないことが大切です。

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削除要請で使っている​AI・ディープラーニング用のGPUサーバー

NVIDIA社 GPUを2台搭載した20992個のCudaコアのサーバーがフル稼働で意に反して拡散した画像を探し出しています。冷却性能向上のため筐体の外にだして運用しています。

機械学習やディープラーニング(深層学習)に最適なGPUサーバーを借りると毎月20万円ほどかかりますが、ぱっぷすでは独自に運用(オンプレミス環境)することで無償でサービスを提供しています。


CPU: i7-11700K、Mem:128GByte、HDD:4TB+26TB

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削除要請スタッフからのメッセージ

想像をはるかに超えるアダルトサイトのページ 数の多さ!要請をしても消してもらえない!! やっと消えても、数カ月すれば再びアップされ新たなアダルトサイトがまたでできたりして いる。こういった現状に絶句しました。無修正の動画は、撮影者の顔だけが隠されていますが、違法だとわかって撮影している撮影者に憤りを感じています。こんな人たちの利益のために、いったい女性たちは搾取されているか! もっと現状をみなさんに知ってもらい、こんな状況を早くなくしたいと日々思って作業をして います!

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現在、実際の画像や動画をダウンロードしてお持ちの場合は、StopNCII・Takeitdownの活用をお勧めします。

このウェブツールは、性的画像からデジタル指紋を抽出し登録しておくと、Instagram、Tiktok等の動画投稿SNS,Pornhubアダルト動画投稿サイトなどでの拡散を未然に防ぐことができます​。

StopNCII,Takeitdownが用いている画像ハッシュ値での検証の仕組みは自動化が進んでおり、AIや機械学習とは異なり信頼性が高いのが特徴です。

18歳以上のかた:

https://stopncii.org

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​StopNCIIは日本語版がありませんが、ブラウザの翻訳機能を使いながら登録ができます。​​​​

​削除要請をぱっぷすに依頼する

ぱっぷすは非営利団体のため一切お金を受け取ることはありません(=無報酬です)。

ぱっぷすで調査してもどうしても​削除要請する問い合わせ先が分からない場合は専門の調査会社に依頼する場合があります。調査にかかる費用のご負担をお願いすることがありますが、事前ご説明をしご了承を頂いてから対応することになります。​

​削除要請を自分自身でする

​デジタル性暴力被害者支援センター

ぱっぷすが運営する「デジタル性暴力被害者支援センター」は、デジタル性暴力の被害にあわれた方のために、拡散した性的画像記録の削除要請の方法をHP上で公開しています。

こちらに掲載している情報も、ぜひご活用ください。

​アダルトサイト事業者に対する対応

ぱっぷすでは、相談者からの要請により不法にアップロードされた肖像等の削除請求を行っております。

アダルトサイト事業者におかれましては、人道的な観点からも、削除請求に応じて頂きますようよろしくお願いいたします。

削除請求に使用しているメールアドレスは、 delete@paps-jp.org です。

再三削除請求に応じて頂けない場合は、ぱっぷすでは、さまざまな手段を講じます。

  • 検索エンジンから表示されないような措置を行います。

  • ホスティング会社に対して、プロバイダ責任制限法に基づき、侵害情報の送信防止措置を要請します。

  • 悪質なケースにつきましては、相談者と協議及び弁護士に依頼し、発信者(投稿者)に対し、発信者情報開示請求の仮処分後、発信者に対し訴訟を提起しております。​

なぜ相談は無料なのですか?

ぱっぷすは性的搾取・デジタル性暴力の相談支援活動をしている非営利の団体です。スタッフの人件費などは、公的補助金・民間助成金をふくめ、みなさまからの暖かいご支援で成り立っています。

•アウトリーチ:支援が必要であるにもかかわらず届いていない人に対し声掛けなどを行い福祉が積極的に働きかけて情報・支援を届けるプロセスのこと。

•削除要請:本人に代わって拡散した性的画像記録の削除要請を行うこと

•アドボカシー:広報・啓発・政策提言などのこと

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削除要請
​政策提言
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自立・回復に
​つなげる

ぱっぷすは、性的搾取・デジタル性暴力にあわれたかたのサポートをしています

 
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