(C)ぱっぷす(特定非営利活動法人ポルノ被害と性暴力を考える会)

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PAPSメルマガ vol.86『第5回ぱっぷす活動報告会・“身バレ”ってどういうこと?”基本知識から深いことまで』


2020.2.8(土)18:30~20:30まで2時間、東京ウィメンズプラザ・第1会議室にてぱっぷすの第5回活動報告会を行いました。事の外寒い夜にもかかわらず80名定員の会場はスタッフを含めて満席で盛況でした。ご参加の皆様に厚く御礼申し上げます。 「性売買の現場からの#MeToo」というタイトルで、➀過去の映像が本人の承諾なく勝手に二次使用され、新たなドキュメント作品になって売られている問題、②一刻も早く自分の性的画像を消したいという願いが多いので、消す方法はあるというメッセージ、③しかし、性被害を受けた事実は消せないので、その後をどう生きるかの課題 の3つの柱でぱっぷすのスタッフによるリレートークを行いました。

◎ぱっぷすとの関わりと、15年間の見てきた性的搾取の現実・・金尻(理事長)の話

若いスタッフや新しい支援者が増えていることを踏まえて、初期のころから関わっている金尻理事長に個人的体験を交えて話すことでぱっぷすの今までの経過を大急ぎでお伝えいたします。

「忘れもしない2004年12月26日の夕方、AV撮影で出演女性に重傷を負わせた監督が逮捕されたのとのテレビニュースにびっくり。後にバッキー事件というが、被害女性は15人以上いた。実際に被害として起訴できたのは4人分だけ。他の被害者たちは精神的に公判に耐えられないだろうとの判断で見送られた。個人的にも密室で脅された体験がありこのニュースが強く印象に残った。公判には必ず傍聴に出かけ、もっと勉強したいとネットで「ポルノ・買春問題研究会」を見つけ、ここで、現在ぱっぷすの副理事長をしている中里見博さんに出会い、アメリカのキャサリン・マッキノンの理論を学んだ。同じころ、奈良県で、関西援交事件があり、95人の子どもたちがポルノに被写体となり被害を受けた。大人のAVばかりでなく児童ポルノにも大きな課題があることを知りECPAT(ストップ子ども買春の会)にも参加した。関西援交事件以後子どもを使った着エロが販売されるようになった。バッキー事件では加害者は処罰されたが当時のDVD等はいまだに販売されている。

そのような経過をたどって、ぱっぷすの設立に加わり、最初は社会啓発活動を行っていた頃、社会学者の宮台真司氏がTwitterで、AV被害について “名誉棄損で刑事告発すれば一瞬で沈む輩。AVの現場も知らないくせに(ぷっ)バクシーシが書いたものを真に受ける愚昧。AV女優がのべ何万人いる中で被害届があるかい?なぜないのか考えろよ、馬鹿が。”とツィートしているのを見て、怒りを通り越して、どうして“被害届が出せない”のか知りたくなりました。

やがて被害者が実際に相談に現れるようになった。最初に出会った被害者の方をぱっぷすではゼロ番さんと呼んでいるが、支援の仕方が分からず、うまくいかず、摂食障害でどんどん痩せ、死にたい、死にたいと訴えていたが、つなぎ留め続けることができずに、途切れた。年に一件かそこらの相談だったのだか、現在は年150件以上の相談が寄せられるようになった。支援の理論的根拠はソーシャルワーク論です。

◎どのように画像削除をしているか・・胡(スタッフ・削除請求チーム・相談支援チーム)の話

現在ぱっぷすが行っている削除の成果を図に示しながら解説した。 「AVやリベンジポルノの被害者が願うことは自分の性的画像が一刻も早くネットから消えること。被害者によってはネット検索をせずにはいられない状況になって正常な日常生活が送れなくなったり、自分のことが人に知られてしまっているのではないかと恐ろしくて外へも出られず閉じこもりの状態になった、など被害の実態は深刻だ。2017年ごろから試行的に削除に取り組み、地道にやれば一定の成果が上がることが分かり、2019年から専任のスタッフを採用して組織的に削除に取り組んできている。2019年6月から12月までの7か月間で、削除要請をした総件数は9,128件で、その内何らかの形で削除できた件数は4,496件。成功率は49%。完全に削除できた件数は2,413件で、完全成功率26%。それぞれのサイトに削除要請するには画像が掲載されているURLの特定をしなければならず、作品名や出演名で探している。リベンジポルノの場合はツィッターなどの投稿なので特定するのが非常に難しい。

削除要請で問題なのは、例えばツイッター社に削除要請をする場合、被害を受けている側にだけ個人を特定するパスポートなどの個人情報の開示を求められる。ウキペディアは今までは応じていたがこの頃は対応してもらえていない。海外のサイトの場合は応じないサイトが多い。また海外の場合、無修正物などについて日本の法律が適用できない。ぱっぷすの行っているサイトへの削除要請は“お願い”であって、法的裏付けがなく、せいぜい、肖像権の侵害とか社会倫理上という理屈で行っている。自分の画像が削除されたことを確認した人から“嬉しい”とのメールが来るのが励みになっている。」

◎被害のその後を生きるために・・北原(スタッフ・相談支援チーム・カウンセリングチーム)の話

スタッフの北原は心理が専門であることを自己紹介したうえで以下のように話した。

「実際に相談を受けると、弁護士に連携し被害直後の事業者との交渉、警察と連携し事件化する事、動画の削除に手をつけ始めることなど相談直後にやることはいろいろある。これらが一段落したり、あるいは経過が煮詰まったりしたりすると、ふと、相談者さんから漏らされるのは、“他の人たちはどんなふうに切り抜けているのか聞いて見たい”という言葉だ。被害を一生抱えて生きていくことに対する支援について考えさせられた。

そこで、ピアカウンセリングの専門家に話を聞いたり、エンカウンターグループに実際に参加して体験してみたり、精神障害者の就労支援を行っている作業所のグループプログラムの実際、ダルクの自助グループの考え方ややり方、などから模索しぱっぷすでできるグループ活動を検討してきた。

希望者を募ってグループミーティングを実施できる見通しが立ったので、ゆっくり落ち着いた雰囲気のいい場所を確保して試験的に近々行う予定でいる。来年度はもっと組織的に行っていきたいと考えている。」

◎本人の承諾なく勝手に使われてしまう映像の問題・・恵(スタッフ・相談支援チーム・性的搾取・人身取引問題担当)の話

固有名詞をあげるわけにはいかないもどかしさがあるが怒りを込めて昨年起きた問題を話しました。 「昨年あるAV監督が自分の“活動”のドキュメンタリー映画を作成した上演したことが話題になった。AV監督のドキュメントなので彼の撮った映像の女性たちが承諾もなく無断で使われていた。一部は抗議により削除されたがなお残っている映像もある。なぜこの監督の“活動”がドキュメント映画のテーマになるのだろうか。今、ドキュメントを製作するのなら、ぱっぷすに相談を寄せてくる彼女たちの人生こそが映画化され、世に訴えるべきではないか。しかしながら、彼女たちは訴えることができない。なぜなら、訴えたその瞬間に訴えたその人は特定され、その訴えはエンタテイメントとして消費し楽しむ一定の層がいるのだ。

ぱっぷすは多数の相談者から撮影現場の実態を聞き取っている。撮影現場の様子をよく覚えていない人が多い。あまりのことに記憶が飛ぶ心理的防衛機制が働くのだ。撮影の場合、①演技のある撮影と②演技のない撮影とがある。①は、とりあえず、一言二言のセリフがある。これが演技だ。②は、自分の身体をひたすらなされるままに委ねる。①も②もひたすら時が経つのを耐える。記憶どころではない。

昨年は、韓国、台湾、インドネシアで日本の実態を伝えてきた。“ちゃんとした”会社がこのようなAVを製作していることを伝えると一応に驚く。もはや、日本国内だけの問題ではない。」

最後に20分ほど質疑に時間を取りました。

その一部を紹介します。

Q:“身バレ”って何ですか。 A:ついつい内部的な言葉を使ってしまってすみません。他にも分からない用語を使っているかもしれません。“身バレ”というのは、AVに出演したことが親や友人知人など身近な人に分かってしまうことです。これを発端にして様々な差別や社会的排除を受けます。プロダクションは、絶対に身バレなんてしないからと請け負って出演させます。しかし、まず、身バレしないということはありません。

Q:AVについて、日本固有なものと海外との一番大きな違いは何でしょうか。 A:いろいろあります。➀日本には懲罰的な規制がないので、刑事化されて摘発されても、別のサイトに衣替えして継続している。②日本のように大きな産業になっているものはアメリカにはない。③海外に行ったとき、プロダクションやスカウトの説明が困難で、それは“ピンプ=買春業者”じゃないかと言われます。プロダクションは“総合モデル・プロダクション”と言いその中にAVも入っているという体をとっています。     会場からすかさず、“それって詐欺じゃない?”との声が飛びました。

Q:ぱっぷすの相談の相談料はどうなっているのでしょうか。 A:相談を寄せる方からは相談料は受け取っていません。ただし、弁護士による法律援助が必要な場合は弁護士費用(多くは法テラスの民事法律扶助制度を使います)がかかります。ぱっぷすの相談料は皆さま方からの貴重な寄付によって賄っています。受付に募金箱がありますので、是非、ご協力ください。

今回はぱっぷすとつながりのある他団体も参加され、それぞれ寄付や活動協力を呼び掛けたりして広がりを見せました。


2月15日(土)14:00 申込受付中!

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子どもたちは、日頃からスマホなどからインターネットを利用しています。



子どもたちはスマホなどを使いこなしているように見えますが、大人も知りえないアプリを使うなどのリスクについて、 知識が不足しているために、トラブルに巻きこまれるケースが少なくありません。

このセミナーでは、相談現場から子どもの性暴力被害の現状やスマホと性暴力から子どもを守るための方法、実際にトラブルに巻き込まれたときの対処法について学びます。

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お申し込みができないときはぱっぷす宛てにご連絡ください。

ぱっぷすの相談支援事業を維持するために必要不可欠な相談員の人件費、事務所の維持費、相談者との面談のための交通費や施設費は、皆様からのご寄付で賄っています。 これからもより質の高い支援を継続して行っていくために、安定した活動資金を必要としています。 今後も、ぱっぷすの相談支援体制の充実をはかり、被害を無くすために努めて参りますのでご協力をよろしくお願いいたします。 https://www.paps.jp/supporter


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