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●●ポルノ被害と女性・子どもの人権プロジェクト メールマガジン
vol.005 2010年12月25日 発行
【ポルノ被害と性暴力を考える会】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
もうすぐ今年も終わりですね。すっかり寒くなり風邪も流行りはじめています。お体にはくれぐれもお気をつけください。
さて、先月の28日に「ポルノ被害と女性・子どもの人権」パート2として、「ポルノ被害と子どもの貧困~脅かされる子どもの性」を立教大学池袋校舎にて無事開催いたしました。入場者数は、スタッフ・ボランティアを入れて約220名となり、昨年に引き続き大きな成功を収めることができました。NHKの取材を受け、翌日の朝のニュースで報道されました。
1人目の基調報告者である日本ユニセフ協会の中井裕真さんは、「児童ポルノの被害と実態――国際的取り組みから」と題して、児童ポルノの実態、日本における取り組みの遅れ(単純所持はもとより児童ポルノを購入したりもらったりする行為も禁じられていないこと)などについて詳しく話してくださいました。
2人目の基調報告者である立教大学教授の湯澤直美さんは、「現代日本における子どもの貧困と子どもの性」と題して、日本における子どもの貧困率の高さ、貧困が単に連鎖するだけでなく雪だるま式に増大していくメカニズム、そしてそうした中で子どもを性的に利用する産業がはびこっている現状などについて報告してくださいました。
パネルディスカッションでは、まず最初に子どもの自立援助ホームの職員である高橋亜美さんが、自立援助ホームを通じて支援に関わった子どもたちが置かれている実情について胸に迫るお話をしてくださいました。
次に福島大学の準教授である中里見博さんがポルノ被害とは何か、それに対する法的アプローチはどうあるべきかについてわかりやすく説明し、「性的に侵害されない権利」「性的人格権」を新しい権利概念として確立していく必要性についてお話ししてくださいました。
最後に、基調報告者でもある中井さんが国際的な動向に触れつつパネラーのお話と基調報告を補完するお話をしてくださいました。
質疑応答ではとくに中里見さんの発言に対する質問が集中しました。時間の都合上ほとんど質問には答えられませんでしたが、今回のシンポジウムの報告書では、もう少し詳しくお答えするようにしたいと思います。
参加者の方に書いていただいた感想アンケートでも非常に好評でした。 以下、いくつか紹介させていただきます。―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「児童ポルノの性被害の話は深く印象に残った」
「世界的な動きを知ることで、さらに物の本質のとらえ方が明確になった」
「児童ポルノ問題の理解の不足は、自分自身の問題でもあると痛感した」
「子どもの貧困と性暴力」の関連性を納得のいく展開だった」
「今まで意識化されていなかった問題が、明確に浮き彫りにされ、具体化してきた」「子どもの貧困を繰り返さないために、自分にできることは何なのか考えたい」
「日本の子どもの貧困に国際的に見ても深刻化していることがわかった」
「被害を受けた子どもたちの「声なき声」を聞かせてもらい、大人の一人として胸が痛んだ」
「現場の声、国際的な視点からの声、理論からの声という3種類の視点から意見を聞くことができた」
「高橋さんの子ども声の代弁と、子どもに対するその姿勢がとても素晴らしい。中里見さんの説明がわかりやすかった」
「ポルノ被害および子供の貧困問題の実態を講演・資料ではじめて知ることができた」
「福祉現場で働く者としてもっとこの実態を多くの人に知ってほしいと思う」
「小・中学校の教員等も参加して積極的に研修すべき」
「現実を突きつけられて、何としても変えていかなければと思った」―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
当日、出版されたばかりの『証言・現代の性暴力とポルノ被害~研究と福祉の現場から』も発売しましたが、70冊近く売れました。引き続き販売していますので、ぜひご注文ください。