メルマガ vol.103 「性暴力表現について、メディアに問う~公開質問状に賛同します~」



RKC高知放送「eye+スーパー」(2021年1月6日15:50~16:45)における、フィギュア作家デハラユキノリ氏の個展の紹介コーナーに関して、高知県立大学福祉学部の教員たちが立ち上げた団体 #メディアにおける性暴力表現を許さない@高知 が、RKC高知放送報道制作局報道担当部長 植村 浩史氏と、「eye+スーパー」番組製作担当者に対し、令和3年2月19日付で公開質問状を提出しました。 ぱっぷすは、ここに賛同団体として加わっています。

当日の放送がどのようなものであったかは、公開質問状に詳しく書かれていますが、#メディアにおける性暴力表現を許さない@高知 が番組製作側へ求める回答には、「盗撮」のみならず、あらゆる性暴力について再認識すべき点が記されており、ぱっぷすも今後の展開を注視して参りたいと思います。   

ぱっぷすは2013年に、 児童ポルノ絵を含むさまざまな性暴力性と性差別性に溢れた図画を展示した森美術館に対し、‘作品’の撤去を求めるキャンペーンを展開しました。特に、「犬」と題された6連の‘作品’は、残虐な児童ポルノだということ、そして障がい者差別そのものでした。

なにを展示してなにを感じさせるのか、それは美術館が行う「観衆へのモラル教育」なのではないでしょうか。   

女性を性的動物として扱うこと、それは描写を通じた性暴力の一形態であるとともに、すべての女性の尊厳を著しく傷つける下劣な性差別行為です。それをアイロニーとして片付けるのはあまりにも無理がある話でしょう。   

「デハラユキノリ氏」についての今回の放送も、同様の問題があると考えています。   

森美術館へのキャンペーンと同じく、個人の性的嗜好や表現の自由を否定するものではありません。しかし公共的な空間である民放のニュース番組において、「盗撮が性暴力である」だと番組関係者らが指摘せず、「あくまで”表現”だから」「法を犯したわけでもない」「いちいち批判するのは野暮である」とでもいうような曖昧さで番組が進行したのであれば、看過することができないばかりか、新たな危機感を覚えます。  

それは、#メディアにおける性暴力表現を許さない@高知 が危惧する、「メディアが社会に対し、性暴力を肯定しかねない誤った認識を与えることとその重大性」についてはもちろん、“批判なき放送”によって「傍観者」の存在が作られていくことです。 

性暴力そのものと、被害者と、加害者を遠巻きに眺めつつも、何だか面倒くさそうだなと視線を逸らし、「まぁいいか、大したことじゃない」と軽く受け流す。そこまで興味があるわけではないから、自分は当事者ではないから、下手に関わると損をしそうだから――そういう無感覚な人間に、メディア側の人々のみならず、わたしたち一般視聴者がなった時に起こることを想像しないといけません。 

この件に関し、どうか耳をかたむけてください。 公開質問状の回答期限である2月末日までに、番組関係者からしかるべき対応がされることを強く願っています。  

以下、公開質問状の全文です。


令和3年2月19日


RKC高知放送

報道制作局報道担当部長 植村 浩史様 

「eye+スーパー」 番組製作担当者様


#メディアにおける性暴力表現を許さない@高知


RKC高知放送「eye+スーパー」2021年1月6日放送

フィギュア作家デハラユキノリ氏の個展の紹介コーナーに関する公開質問状


2021年1月6日15:50~16:45の貴局のニュース番組「eye+スーパー」において、フィギュア作家のデハラユキノリ氏による当時開催されていた個展の紹介がありました。 そのコーナーにおいて、個展のフィギュアの中で、①男性アナウンサーが、「この時間に見せられるようなものではない」と言いつつ、「盗撮」の場面を想起させるような、カメラを持った男性と下着を見せる女性の一対のフィギュアを紹介しました。その際に、②作者のデハラ氏は「盗撮」は「男の夢」と言い、あたかも性暴力を肯定し正当化するような表現でコメントしました。③続いて、デハラ氏は、前言を取り繕うかのように「犯罪はしてはいけない」と発言しました。その際、その場に同席していた男性及び女性アナウンサー、レポーター計3名は、デハラ氏の発言を全く批判せず、「盗撮が性暴力である」ことも指摘しませんでした。

 このような「性暴力を肯定する」言説が公共的な空間である、民放のニュース番組で無批判に放映されたことに強い憤りを覚えるとともに、放送内容が社会に与える影響の大きさを危惧しております。

内閣府に設置された男女共同参画会議基本問題・計画専門調査会においても、「女性に対するあらゆる暴力の根絶」において「① 女性をもっぱら性的ないしは暴力行為の対象としたメディアにおける性・暴力表現 は、それ自体が「人権侵害」であるという観点から広報啓発を行うとともに、メディア・リテラシー向上のための取組を推進する。 ② 性・暴力表現が人々の心理・行動に与える影響についての調査方法を検討する。」※と、メディアにおいて女性を性暴力行為の対象として扱う表現を人権侵害と捉え、それが人々の心理・行動に与える影響を危惧しています。

※(「第3次男女共同参画基本計画策定に向けて(中間整理)」(抜粋)

平成22年4月 https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/sakutei-suisin/kaigi3/pdf/s16.pdf


そもそも本来、このコーナーの意図はデハラ氏の作品や展示内容を紹介することであり、性暴力を肯定し報道する意図ではなかったことと考えています。しかしながら、実際に放送された内容は、まさにこの人権侵害が現実に行われ、視聴した人々の心理・行動に影響を与えるものでした。内閣府「男女間における暴力に関する調査」(2017年度)によれば、女性の13人に1人(7.8%)が「無理やり性交などをされた」経験を持ち、うち67.5%が「どこ(誰)にも相談しなかった」と被害が潜在化し、声を挙げづらい環境があります。メディアが性暴力を肯定する表現を流すことは、まさに「魂の殺人」と呼ばれる性暴力の問題を矮小化して、被害者を沈黙させる効果があるといえます。


 以上のことから、私たちはこれを放映したことの社会的責任を問い、貴社及び番組製作担当者様に対し、2月末日までに以下の質問についての書面での回答をホームページにて掲載し公開することを求めます。


 その際、「受け取る側の気持ちや(作品に関する)解釈の問題」にすり替えずに、性暴力の二次被害を与えかねない内容を放映したことの責任とそれに至った番組製作上の問題点を正確に認識された上で、具体的な再発防止策を含む、真摯な回答を望みます。なお、こちらの公開質問状は提出した時点で差出人はじめ賛同団体のSNSアカウント・HPなどで公開し、回答がない場合はその旨も公表させていただくことを予めご了解をいただければ幸いです。


呼び掛け人

#メディアにおける性暴力表現を許さない@高知

Email: nsvm.kochi@gmail.com

ハマ(高知 #Metoo 88プロジェクト実行委員会)

長澤紀美子(高知県立大学 教員

/高知県第2次及び第3次DV被害者支援計画策定委員)


〇賛同人(50音順)

伊藤 満里奈(公認心理師、臨床心理士)

岡崎 邦子 (高知市議会議員)

岡田 はるか(民青同盟)

小幡 久美子

樫尾 則美 (企業組合労協船橋事業団 相談員)

國吉 紀子

黒川 桂子(フラワーデモ@こうち)

佐藤 洋子 (高知大学教員)

篠原 紀美

田中 友理 (フラワーデモ@こうち)

田邉 佳香 (高知県立大学看護学研究科)

竹島 正起

中桐 世利子

中村 哲也 (高知大学教員)

仲本 真理子

畑山 佳代 (高知県母親運動連絡会会長)

浜川 百合子(日本共産党県副委員長)

廣瀬 淳一 (高知大学教員)

細金 和子 (一般社団法人Colabo理事)


〇賛同団体

I女性会議高知県本部

高知県退職婦人教職員連絡会

新日本婦人の会高知県本部

新日本婦人の会高知市支部

特定非営利活動法人ぱっぷす(ポルノ被害と性暴力を考える会)


─  記  ─

1) 「盗撮」は性暴力の一つの形態であり、あらゆる性暴力は重大な人権侵害で犯罪であること、またいかなる場合においても加害者に非があることを認識しておられるでしょうか?


2) 民放局の地上波番組において、(小学校低学年などの子どもも見ていると想定される)夕方の時間帯のニュースの中で、「盗撮」を想起させるフィギュアを紹介し、性暴力を正当化するような作者の見解を批判しなかったことは、社会に対して性暴力を肯定しかねない誤った認識を与えることとその重大性について、番組製作側としてどのような認識を持っていますか? このことは、たまたま性暴力の被害者となり、自らを責め、声を挙げることができない性暴力被害者に二次被害を与えかねないこと、また青少年をはじめとする視聴者に対し「盗撮は許される行為である」という認識を与え、新たな性暴力を生む温床になりかねないことを認識されておられるでしょうか?


3) 貴社のホームページやSNS等において、以上に関する事実関係の報告及び謝罪、ならびに具体的な再発防止策を含む貴局の対応について、公開していただくことを求めます。その理由は、今回の放送内容によって二次被害を受けた可能性がある潜在的な被害者に対しての公式な謝罪と、二度とこのようなことが繰り返されないという保証について責任を持って伝えることが必要と考えるからです。

【追記】

   その後についてお知らせいたします。  公開質問状の期限である2月28日付で、RKC高知放送のウェブサイトにコメント(1週間程度で削除)が掲載され、翌3月1日の「eye+スーパー」内で謝罪があったようです。しかし、高知放送側は何の問題に対する謝罪なのかを明確にしませんでした。

 そこで、 #メディアにおける性暴力表現を許さない@高知 は、掲載された文章や謝罪は公開質問状への回答として到底認められないとして、2021年3月8日に、あらためてRKC高知放送宛に公開質問状を送付しました。

 回答期日は3月22日です。ぱっぷすは #メディアにおける性暴力表現を許さない@高知とともに、番組関係者からの責任ある回答を望んでいます。

 以下は全文となります。


令和3年3月8日


RKC高知放送

報道制作局報道担当部長 植村 浩史様 

「eye+スーパー」 番組製作担当者様


#メディアにおける性暴力表現を許さない@高知


RKC高知放送「eye+スーパー」2021年1月6日放送

フィギュア作家デハラユキノリ氏の個展の紹介コーナーに関する公開質問状


2021年1月6日の貴局のニュース番組「eye+スーパー」で性暴力を肯定する言説が無批判に放送されたことに対して、私たち「#メディアにおける性暴力表現を許さない@高知」は2021年2月19日に公開質問状を送付し、それに対する回答を2月末日までに貴社のホームページに掲載して公開することを求めました。

2月28日に貴社のホームページに文章が掲載されたこと、また翌3月1日の「eye+スーパー」内で謝罪があったことから、私たちは、貴社で公開質問状に対して検討がなされたものと受け止めました。

しかしながら、掲載された内容は次の点で問題があると考えます。


1)番組の内容自体が「不適切な内容」であったことを認めず、「視聴者の方から不適切と感じたとのご指摘を受けた」とあくまで視聴者の受け取り方や解釈の問題としていること。

2)公開質問状への回答であることを明記せず、また指摘を受けた経緯を説明せず、番組の中で性暴力を正当化するような作者の見解を批判しなかったことという、問題の本質をあえて意図的に隠していること。

3)上の内容では、番組を視聴し二次被害を受けた可能性のある潜在的な被害者に対して、謝罪をしたことにはならないこと。


以上のことから、あらためて私たちは放送内で性暴力を肯定する言説を無批判に放映したことの社会的責任を問い、貴社および番組制作担当者様に対し、3月22日までに下記の質問についての書面での回答をホームページにて掲載し公開すること、また当団体のメールアドレス宛に同書面を送付することを求めます。


その際、「受け取る側の気持ちや(作品に関する)解釈の問題」にすり替えずに、性暴力の二次被害を与えかねない内容を放映したことの責任とそれに至った番組製作上の問題点を正確に認識された上で、具体的な再発防止策を含む、真摯な回答を望みます。なお、こちらの公開質問状は提出した時点で差出人はじめ賛同団体のSNSアカウント・HPなどで公開し、回答がない場合はその旨も公表させていただくことを予めご了解をいただければ幸いです。


呼び掛け人

#メディアにおける性暴力表現を許さない@高知

Email: nsvm.kochi@gmail.com

ハマ(高知 #Metoo 88プロジェクト実行委員会)

長澤紀美子(高知県立大学 教員

/高知県第2次及び第3次DV被害者支援計画策定委員)

佐藤洋子(高知大学 教員)


〇賛同人(50音順)

伊藤 満里奈(公認心理師、臨床心理士)

岡崎 邦子 (高知市議会議員)

岡田 はるか(民青同盟)

樫尾 則美 (企業組合労協船橋事業団 相談員)

金尻 カズナ(特定非営利活動法人ぱっぷす 理事長)

篠原 紀美

田中 友理 (フラワーデモ@こうち)

田邉 佳香 (高知県立大学看護学研究科)

竹島 正起

中桐 世利子

中村 哲也 (高知大学教員)

仲本 真理子

畑山 佳代 (高知県母親運動連絡会会長)

浜川 百合子(日本共産党県副委員長)

廣瀬 淳一 (高知大学教員)

細金 和子 (一般社団法人Colabo理事)


〇賛同団体

I女性会議高知県本部

高知県退職婦人教職員連絡会

新日本婦人の会高知県本部

新日本婦人の会高知市支部

特定非営利活動法人ぱっぷす(ポルノ被害と性暴力を考える会)



─  記  ─


1) 「盗撮」は性暴力の一つの形態であり、あらゆる性暴力は重大な人権侵害で犯罪であること、またいかなる場合においても加害者に非があることを認識しておられるでしょうか?


2) 民放局の地上波番組において、(小学校低学年などの子どもも見ていると想定される)夕方の時間帯のニュースの中で、「盗撮」を想起させるフィギュアを紹介し、性暴力を正当化するような作者の見解を批判しなかったことは、社会に対して性暴力を肯定しかねない誤った認識を与えることとその重大性について、番組製作側としてどのような認識を持っていますか? このことは、たまたま性暴力の被害者となり、自らを責め、声を挙げることができない性暴力被害者に二次被害を与えかねないこと、また青少年をはじめとする視聴者に対し「盗撮は許される行為である」という認識を与え、新たな性暴力を生む温床になりかねないことを認識されておられるでしょうか?


3) 貴社では、「民主主義の精神に従い、基本的人権と世論を尊び、言論および表現の自由を守り、法と秩序を尊重して社会の信頼にこたえる」ことを是とする番組基準があることを拝見しました。 前回私たちが送付した公開質問状に対し、社内ではどのような検討をし、この放送基準に照らし合わせてどのような判断をしたのでしょうか?


4) 貴社のホームページやSNS等において、以上に関する事実関係の報告及び謝罪、ならびに具体的な再発防止策を含む貴局の対応について、公開していただくことを求めます。その理由は、今回の放送内容によって二次被害を受けた可能性がある潜在的な被害者に対しての公式な謝罪と、二度とこのようなことが繰り返されないという保証について責任を持って伝えることが必要と考えるからです。  



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(C)特定非営利活動法人​ぱっぷす(ポルノ被害と性暴力を考える会)

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