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メルマガVol,132「AV出演被害の相談の特徴、変化、支援活動への妨害など」(AV法から1年:前編)


AV出演被害防止救済法の施行から1年が経ちました。この1年間にぱっぷすに寄せられたAV出演被害に関する相談件数は過去最多の128件(2022年度)でした。AV出演被害の全体像がわからないので、この数字が多いのか?少ないのか?判断できずにいます。私たちから言えることは「ひとりでも救われてほしい」ということです。

自分だけで抱え続けてきたAV出演被害を打ち明けて相談することは勇気のいることです。 一人ひとりの苦しみを前に私たちには何ができるのか。AV出演被害防止・救済法は相談者の役に立っているのか、まだまだ足りていないのか。相談支援に対応するスタッフ達がQ&Aで答えます

Q : ぱっぷすに寄せられるAV出演被害の相談の特徴について教えてください。

AV出演被害の相談の特徴には「被害を訴えることの難しさ」があります。被害をうけてから相談するまでタイムラグが生じるのは性暴力の被害相談で多く見られることです。AV出演被害についても、撮影される前にまたは撮影されてすぐに相談に来る方は極めて少数です。出演してから1~2年たってからか、多いのは5~10年前に出演したという方からの相談です。 AV出演被害について相談することは心の葛藤も大きいので「私なんかが被害と言っていいのかわからないけど…」 「興味本位でいってしまったから…」「自分も悪かった、けど…」と、前置きをして話を始める方が多い印象です。

Q : AV法ができてから相談件数に変化はありましたか

2022年は過去最多の128件の相談が寄せられました。法律の施行前後にさまざまな報道があったことで、多くの人にAV出演被害について知っていただけたことも影響していると思います。私たちのような民間団体ですら相談が増えているので、公的窓口や他機関にも多くの被害相談が寄せられているはずです。AV出演被害は「相談してもいい」という空気を広めていきたいです。

ぱっぷすは2012年から現在まで約800人のAV出演被害の相談に対応してきました。これまではAV出演に”被害”が生じているという法的根拠がなかったので、「消してくださいお願いします」と”お願い”することしかできずにいました。いまは法律を根拠に支援ができるようになりました。このことは大きな変化です。

法律ができたことによる影響として警察の対応は全く変わりました。以前なら、警察にいっても「(AV出演契約に)もうサインしちゃったから仕方ないね」と言われたこともありましたが、いまは態度が180度変わりました。「女性警察官に対応してほしい」と希望を伝えれば対応してくれることもあります。

Q : AV法による被害者の救済について具体的に教えてください

販売停止を実現できた事例が複数あります。多くの場合は契約書がなく、AV法4条と15条で通知を行い、15条を根拠に販売停止ができました。 AV法4条2項は法律が施行した後の契約に適用されるものですが、AV法が施行する前のAV撮影で、なおかつ「口頭で説明をされただけで、契約書は交わしていない」という無契約の事例があり、15条の差し止め請求権を行使できるのでAVの販売停止ができました。これまでは「契約書がなければ無効」と明確に書かれた法律が存在しなかったため、私たちから通知を送ってお願いしても、無視して応じないメーカー・事業者がたくさんありましたが状況は一変しました。

(引用元:内閣府男女共同参画「AV出演被害防止救済法 法律の解説」p,18より)

Q : AV法によって刑事事件化できた事例はありますか

2023年6月23日の時事通信社の記事では「全国の警察が摘発した出演被害に関する事件は38件」だそうです。詳細については以下のように書かれています。


「AV法施行の昨年6月から今年3月までに、全国の警察が摘発した出演被害に関する事件は38件あった。このうちAV法違反は昨年12月、警視庁が会社役員の男を逮捕した契約書不交付などの2件のみ。他は刑法のわいせつ物頒布や職業安定法違反、リベンジポルノ防止法違反などでの摘発だった」 (記事より引用)

AV法違反によって刑事事件化できたケースが2件と少ない印象を持たれる方も多いと思います。この法律は契約法なので、本質は契約の解除と取り消しです。契約書を交付しなかったり、任意解除を妨げたりする場合に刑事罰となります。現在、刑事事件化のために警察と一緒に動いているケースも複数あります。


Q : AV法の施行後、支援活動を妨害されるようなことはありましたか

AV法の施行後、団体やスタッフに対して誹謗中傷、虚偽、不確かな情報や憶測に基づく非難、嫌がらせ等がネットを中心にして頻繁に行われるようになりました。性暴力をうけた被害者への支援・被害者の救済活動が阻害されているため、極めて重大な社会問題です。 相談者やスタッフ、この活動を守るために厳正に対処する必要があると考えています。弁護士と協議のうえで法的措置をとり、警察への被害届の提出や刑事告訴を行う等のしかるべき対応をとりたいと考えています。


後編では「AV法施行後の相談とは?」「この法律は守られているのか?」などについて、相談に対応するなかで見えてきた実態を伝えたいと思います。 この記事の後半を読む 「AV出演被害の相談から見える実態、影響、課題」(AV法から1年:後編)

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