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PAPSメルマガ vol.83 ポルノ出演強要 女性たちへ1,300万ドルの支払い命じる(2020.1.4ワシントンポスト紙配信)


1月4日、アメリカのワシントンポスト紙の配信により、私たちにとってはビッグニュースを知りました。若い女性たちを騙してAVに出演させたポルノ会社を相手取って、被害女性たち22名が損害賠償を訴えて、裁判所がそれを認めたという内容です。

 以下記事の全文をご紹介します。騙しの手口、その後の被害の状況、彼女たちの願い等ふだんぱっぷすの相談室で聞いていることばかりです。

 カリフォルニア州の判事が、女性たちを騙して動画撮影に応じるように仕向けて彼女たちの人生を狂わせ、そのうち何人かを自殺未遂にまで追い込んだとして、ポルノ制作会社に22人の若い女性たちへ1,300万ドル(日本円にして約13億円)支払うよう仮執行を命じた。

木曜の仮執行命令は、サンディエゴを拠点としてポルノを制作し、サイトからのユーザー登録と他のアダルトビデオサイトから数百万ドルの利益を上げているガールズ・ドゥ・ポルノ社の経営者たちに対して、女性たちの数年におよぶ法廷闘争の結果下された。問題の会社は別の刑事事件でも、経営者と社員らがアメリカ国内での性目的人身売買の罪に問われている。

 ガールズ・ドゥ・ポルノ社のビジネスモデルの鍵となるのは、ビデオに出演する女性たちが「プロのポルノスターではなく素人の、学生の年齢の女性たちで、ポルノに最初で最後の出演をする」という構成であるとサンディエゴ地方裁判所のケヴィン・A・エンライト判事は民事裁判で指摘した。

 99日間の公判で明らかにされた「計算された手順」とは、会社側の担当者がクレイグスリストの「モデルの仕事」の広告に申し込んできた女性たちを説得する手口で、どのような内容の仕事であるかを隠し、話をすり替えるもので、判事は「動画撮影に応じる以外の選択肢をほぼ与えない」ものであると言う。彼女たちは繰り返し、動画はDVDで海外のコレクター向けに販売されるので、女性たちの身元が知られることはないと説明されていた。女性たちは全員18~22歳の年齢で、ほとんどが生活苦を抱えた大学生だった。  説明の言葉とは裏腹に、ガールズ・ドゥ・ポルノ社はただちにその動画を自社サイトと世界最大規模のアダルトビデオサイトの一つであり何千万人ものユーザーが集まるポルノハブにアップロードした。女性たちは身元を特定され、執拗に嫌がらせを受けた。そしてその動画は彼女たちの両親や兄弟姉妹、ボーイフレンド、コーチ、牧師らに送りつけられた。エンライト判事は、少なくとも、該当企業はこうした結果が避けられないことを知っており、それから利益を得ていたこと、また最悪の場合、企業側はこうした結果になるよう女性たちの名前を公開し、個人情報やSNSのアカウントを特定するなどして、より注目を集めて登録者数を増やそうと積極的に加担したとみなした。

 22人の原告の代理人であるエドワード・チャピンは金曜のワシントン・ポスト紙上で、裁判所の判断は女性たちの意見を代弁するものであり、彼女たちは判事の言葉を借りれば、動画の公開によって「広範囲に渡って、しばしば悲劇的な代償を支払わされ」苦しんでいたと発言した。

 「女性たちはこの結果を大変喜んでいます。当然ながら、1,270万ドルという金額に喜んでいるのではありません」とチャピンは言う。「彼女たちが喜んでいるのは、法廷が彼女たちの訴えを聴き、それを立証したことです。彼女たちはやっと誰かに話を聴いてもらえたと感じています。なぜなら彼女たちは屈辱を味わい、馬鹿にされ、嫌がらせを受けてきたからです」。

 ガールズ・ドゥ・ポルノ社は、ニュージーランド出身のマイケル・ジェイムズ・プラットの発案で2009年に設立された。幼馴染の友人マシュー・アイザック・ウォルフェが2年後に会社に参加し、現在は共同経営者である。2人は法廷では、ポルノ男優のルーベン・アンドレ・ガルシアと並んで被告として訴えられた。彼らの顧問弁護士ダニエル・カプランとアーロン・サドックは、ワシントン・ポスト紙への紙面での発表で、「クライアントの取り得る選択肢を比較検討中で、裁判所の仮執行決定に対する異議申し立てや、もし仮執行命令が確定した場合は控訴も考えている」と述べた。

 彼らは法廷で女性たちは自分たちが何をしているか理解しており、動画の販売を認める内容の契約書にサインしたと主張した。しかし判事は、証言によれば女性たちは曖昧な内容の契約書を渡される前に酒と薬物をしつこく勧められており、契約書を読む時間も与えられなかったと指摘し、これらの訴えを認めなかった。

 「被告らの主張は、室内での明らかな力の差を無視している。女性たちはたった1人で、ほとんど知らない2人の男性と一緒にホテルの部屋におり、男たちは最初は友好的だったが、女性が躊躇ったり帰りたそうな様子を見せると攻撃的になり、急かし立ててきた」と判事は判決に記した。「何人かの原告は、撮影前あるいは撮影中に考え直したが、帰るなどと言える立場にないと感じたと証言している」。

 ポルノ企業の弁護士らは、彼らのクライエントはサンディエゴ連邦裁判所で継続中の刑事事件の裁判に集中していると述べた。この刑事事件は民事事件と同様のケースである。ウォルフェとガルシアは10月に逮捕され、プラットは国外に逃亡したと見られる。もし有罪なら、全員終身刑の可能性がある。

 カプランとサドック弁護士は、木曜の仮執行命令は刑事事件には影響しないと指摘した。  「政府は刑事事件においては、『合理的な疑いを差しはさむ余地がない程度』の立証責任を負う。これは民事での単なる『証拠の優越』よりも遥かに基準が高い」と弁護士らは述べる。「民事事件で認められた事実は刑事事件には引き継がれず、政府はより厳しい基準の下で、事実を証明しなければならなくなるだろう」。  刑事事件での起訴が行われた頃、民事裁判はすでに何年間も継続していた。ある匿名の女性Aは、クレイグスリストに掲載された単発のモデル業務の広告に応募し、「あるオーストラリア人の男のために、コピー防止機能付きのDVDだけで販売する」という約束のもと、最終的にはアダルトビデオの撮影に同意、その後2016年に裁判を起こした。彼女はその動画がネットに上がっていることをボーイフレンドからのテキストメッセージで知った。すぐに彼女の通う法科大学院にも動画は出回った。

 彼女は裁判で、大学のイベントに参加するのも止め、授業に向かう際に、人に見られる不安のため何度も吐いたと証言した。

 「女性Aは法科大学院を卒業し司法試験にも受かったが、動画が彼女の評判に与えた影響の大きさのため、もう弁護士になりたいと望むのを止めてしまった」と、エンライト判事は判決の中で述べている。「女性Aは母親になりたいとも望んでいたが、子どもに同じ経験をしてほしくないので、もう子どもは持てないとも証言している」。  裁判では匿名の原告らによって、動画が公開されたためにどのように人生が狂ってしまったか、切実な証言がなされた。多くは職を失い、人間関係が破綻し、結果として何らかの機会を喪失したと証言した。

学校から放校されたり、チームから追い出された者もあった。また、何人かは引っ越しを余儀なくされ、容姿を変えることも試みている。  その他にも、視聴者によって脅迫されたり命令されたり、性的な画像を両親や兄弟姉妹に送りつけられたり、侮蔑的な呼び方をネット上に投稿され、あるいは面と向かって投げつけられたこともあったと述べた。ある女性は、何者かが彼女の車に男性器の落書きをしたと発言した。

 判事は、さらに別の女性たちは初めて動画が公開された時自殺を考えたが、「ニュースの見出しがあの動画と関連付けられると思うと、それもできなかった」と述べた。  エンライト判事は仮執行命令で、企業側に自社の管理するウェブサイトから、民事と刑事事件にも関わらず現在も掲載されている女性たちの画像と動画を削除するよう命じた。チャピン弁護士は、女性たちはこの判断に特に感謝していると述べた。 「彼女たちはあの映像などを全て削除してほしいと望んでいました」と彼は言う。「それが彼女たちにとって、最も重要なことなのです」。

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