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売春防止法の見直しに向けて―ぱっぷすが法務省検討会で伝えたこと

  • 11 分前
  • 読了時間: 5分

いつもぱっぷすの活動を応援してくださり、ありがとうございます。

2026年4月7日、ぱっぷすは法務省「売買春に係る規制の在り方検討会」の第2回会議に呼ばれ、現場の実態と、現場から見える法改正の必要性についてお話ししてきました。この検討会は、売買春をめぐる現在の法律や規制のあり方を、国として見直すために設けられた場です。今回のメルマガでは、そこでぱっぷすが何を伝え、何を要望したのかを、支援者のみなさまにご報告します。


現場で見えていること

ぱっぷすは、歌舞伎町周辺で年間およそ150日、週3回のアウトリーチを続けています。夜の路上で出会うのは、主に10代から20代の女性たちです。

その多くは、虐待や貧困、家に居られない状況、ホストクラブの売掛金、孤立、心身の不調など、いくつもの困難が重なり、ほかに選べる手段がきわめて限られたなかで、性を売らざるを得ない状況に置かれています。「今日眠る場所がない」「帰れる家がない」——そうした切迫したなかで応じる行為は、対等な自由意思による「選択」とは言えません。

一方、性を買う側の多くは、安定した収入や住まいを持っています。条件が合わなければ別の相手を探せますし、断られても生活がただちに脅かされるわけではありません。ここには、はっきりとした力の差があります。

そして、この状況は一度きりで終わるものではありません。住まいが不安定になれば心身の調子を崩し、体調が悪ければ働けず、働けなければお金に行き詰まる——こうした困難は一つが崩れると次々に連鎖し、同じところを何度も回り続けることになります。「自分で選んだ」「自分が悪かった」と感じやすくなるなかで、外に助けを求めることはいっそう難しくなります。性を売らざるを得ない状況は、本人の意思の弱さではなく、この連鎖のなかで繰り返し生み出されているのです。

さらに近年、SNSや動画を通じて「TACHINBO」「Okubo Park」といった言葉が拡散し、訪日外国人による路上での買春が目立つようになりました。日本が"安く性を買える場所"として、国の内外から消費されつつあります。


現行法の問題点

いまの売春防止法は、性を売る側の勧誘を処罰する一方で、買う側の責任はほとんど問いません。そのため、暴力や脅し、代金未払いといった被害を受けても、「自分が摘発されるのではないか」と恐れて声を上げられない当事者が少なくありません。被害を受けた当事者ほど声を上げにくく、買う側は責任を問われにくい、そうした不均衡が生まれています。

ぱっぷすは、性売買を「個人の選択」や「自己責任」の問題としてではなく、「需要」「仲介構造」「脆弱性」が結びついて成立する性的搾取の問題として捉えています。だからこそ必要なのは、当事者を罰することではなく、搾取を生み出す構造を止め、性を売らざるを得ない状況に置かれた人が安心して支援につながれる制度をつくることです。


ぱっぷすが要望したこと

検討会で私たちは、当事者を処罰するのではなく、搾取を生み出す構造の側に責任を問う制度へ転換するために、次の6点を要望しました。



要望① 法律の名前を「売春・買春防止法」に改める

「売春防止法」という名称では、性を売る側だけが問題であるかのように見えてしまいます。「売春・買春防止法」または「性売買防止法」へと改め、買う側も法の対象であることが名称からも明確に伝わるよう求めました。法律の名前は、誰の行為を問うているのかを示す、社会へのメッセージでもあります。

要望② 買う側の「勧誘」を処罰の対象にする

現行法では、売る側の勧誘行為が処罰されやすい一方で、買う側への処罰は十分に問われていません。ぱっぷすは、路上やSNSなどで買春を持ちかける行為も規制の対象とし、当面の優先課題として、買春の勧誘行為の処罰化から進めることを求めました。

要望③ 売る側を処罰せず、支援につなげる

住む場所がない、借金に追われている、相談できる人がいない。そうした状況にある人を罰したところで、その人を追い詰めている問題は手つかずのまま残ります。むしろ支援から遠ざけ、より危険な状況へ追い込んでしまいます。売る側の勧誘を処罰する規定は廃止または大幅に縮減し、発見した際には摘発ではなく福祉的支援につなぐことを原則とするよう求めました。

要望④ 住まい・就労・医療などの支援体制を強化する

住居、就労、心理ケア、医療、法律相談など、当事者に必要な支援は多岐にわたります。民間団体の努力だけでは限界があり、公的な財政支援を確保して、安心して相談できる体制を社会全体で整える必要があります。ぱっぷすは、当事者への支援体制を大幅に強化するよう求めました。

要望⑤ 需要を抑える教育・啓発を、国の取り組みとして法律に明記する

性的搾取をなくすには、性を買う側の需要そのものに働きかけることが欠かせません。ぱっぷすは、性を買う行為が脆弱な立場にある人への搾取になり得ることを伝える教育・啓発を、国として取り組む姿勢を示すよう求めました。

要望⑥ SNS・アプリ上の勧誘も規制の対象にする

性売買は、いまや路上だけで起きているわけではありません。SNSやマッチングアプリを通じて勧誘や申し入れが行われ、当事者が危険な取引に巻き込まれることもあります。デジタル空間での勧誘・申し入れの規制や、プラットフォーム事業者への削除義務・通報体制の整備を含め、包括的に対応するよう求めました。


要望に共通しているのは、性を売らざるを得ない人を責めるのではなく、その状況を利用して性を買う需要と、搾取を生み出す仕組みの側に責任を問うという考え方です。これは、スウェーデンやフランスなど多くの国が採ってきた『買う側を規制し、売る側を支援する』という方向性に沿うものです。


資料は下記からダウンロードできます


搾取を生まない社会へ

問われるべきは、路上に立つ人ではありません。その人をそこに立たせている“状況”であり、それを承知で性を買う側の“需要”です。


搾取を生み出す構造を変えること。

安心して「助けて」と言える社会をつくること。


今回の検討会は、その一歩を制度として動かすための、またとない機会だと考えています。ぱっぷすは引き続き、現場で出会う一人ひとりの声を受け止めながら、支援と制度改善の両方に取り組んでいきます。


ぱっぷすの活動は、みなさまのご寄付と応援に支えられています。夜の街でのアウトリーチ、相談支援、居場所づくり、そして法制度への提言を続けていくために、これからも力を貸していただけたら幸いです。

引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

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