ぱっぷすには日々メール、電話、LINEなどで相談がよせられ、それぞれの方が苦難を抱え、必死に前向きに生きようともがいている様子が伝わって来ます。
今回のメルマガでは、不本意ながらAVに関わらざるを得なかったAさんのメール(本人の了解済みでかつ個人情報に係る部分は削除)をご紹介します。このメールからは、逃げるに逃げられない業者の手口とAさんの内面の複雑な迷いが伝わります。※。Aさんはぱっぷすのメルマガに相談メールを公表するにあたり以下のメッセージを寄せています。
「AV業界がクリーンになっている、という世間のイメージとのギャップを少しでも多くの方に知っていただきたい。同じような悩みを持っている方が、1秒でも早くご相談に踏み出せるきっかけになったら嬉しい。」
《 相談を寄せて下さったAさんのメール 》
私は自分のAV出演に対して事務所からの強要があったと思っています。元々AVに出演するつもりもしたくもありませんでした。お仕事を紹介された際、出演に対してお断りしていたのですが、とりあえず宣材写真を撮ろうといわれしょうがないからはいと答えました。宣材写真といっても簡単な顔写真と全身写真(着衣)だと思っていて、脱ぐ事はスタジオに行くまで知らされておらず、当日写真を撮る際にフルヌードになることを伝えられました。とても怖かったのを今でも覚えています。 その後、フルヌードの写真のデータが事務所にあることを考えたら何も言えませんでした。流れるようにメーカー面接を組まれ、しばらくしたら事務所に呼ばれてデビューするメーカーが決まったと知らされました。 どうにかして逃げられないか考えましたが、その際に宣材写真を撮影したら契約として1作品は最低でも出演しなくてはいけない、そう言われました。 もし出演しない場合、ここまでかかった費用(宣材写真等の撮影料金など)が違約金として発生すると言われました。 いくらかかるのか、住所や名前も控えられているし親に話されたらどうしようなどそういったことばかり考えてしまい、サインをするしかありませんでした。私自身裕福ではありませんがお金にも全く困っていない状態なので無理に出ることもなく1作品だけでたら逃げよう。そうするしかないと思いました。何よりもバレることが本当に嫌で、パブリッシングも全く開きたくなかったです。そう伝えていました。 しかし事務所からの仕事内容は専属単体デビュー(*本)でした。 メーカー専属のためSNSやイベントは必須、パブも全開でと言われ強引に*本の出演が決まってしまいました。勝手に決められた不信感やこれまでの強引さや騙されたことから更に事務所に対する恐怖心は高まりました。でも誰にも相談出来ず逃げられませんでした。 半ば強引に一人暮らしも勧められ、部屋も契約しました。親に嘘をつき、連帯保証人になってもらった時の罪悪感は今でも忘れられません。 辞めたくても辞められない状況に追いやられ、私自身もAVに出演してしまったという自己嫌悪と普通の社会に戻ってもバレてどこにも居場所がなくなってしまうことが怖いという感情、それに相まって元々自分に自信が無く引っ込み思案な性格なので辞めたいと意見して事務所にまで嫌われこんなAV業界にすら居場所を失ってしまうことがもっと怖くなってしまいどうしようもなくて事務所に言われるがまま笑顔のふりをしてAV女優として作品に出演しました。 撮影中も嫌なことが何度もありました。それすら言う勇気もありませんでした。 撮影日だけおさえられ、内容やギャラ等私から聞かなければ直前まで教えていただけないことも多くありました。
私の他にも騙されて出演することになってしまった女の子が何人もいた事を知り、ギャラも理不尽な割合なことも知りました。最初に広告で見たアダルトグッズのモニターの仕事もフェイクだということを事務所のマネージャーの口から聞きました。 それでも笑顔で言うことを聞かないと、仕事を無くされてしまい孤独になってしまうかもしれない。個人情報をばらまかれてしまうかもしれない。仕事がしたくないと思いが強くありながらも、意見したら絶対にしたくないと言っていた仕事を回されるんじゃないか、風俗などに投げられてしまうんじゃないかという恐怖心がとてもありました。 数々の不安から摂食障害も患い、たまに会う親にも心配されるようになりました。 私の作品が売れるようになってきて、知名度も出てきてしまい、これ以上続けたら本当に誰もが知る人気女優になってしまうという新たな恐怖心、これ以上私たちを騙して儲ける事務所の為に身を削りたくない、そんな気持ちからやっと引退という言葉を口にすることができました。
私は、一生事務所は許したくないし、事務所のせいで人生が壊れたと思っています。
強要問題に敏感なご時世なのでメーカーとは出演の際『自らの意志で出演している』(注)という書面を交わしていたこと、私が強要されていた証拠はほとんどないことから、誰にも話せずどうしようもないことだと思い諦めていました。出演した過去が消えるわけでもないことは重々承知しております。引退後も生きることに絶望し、幸せになる資格すらないと思っていました。しかし、これ以上過去に苦しめられたくないことやこれ以上被害が増えない為にも私が動くべきだと思い(ぱっぷすに)ご連絡させていただきました。
(注)ある女性から入手したプロダクションと女性との間で交わされる「マネジメント業務委託契約書」には以下の条文が含まれていた。
第2条の2
「乙(=出演女性)は、甲(=プロダクション)及びその関係者から何ら強制・欺罔されることなく、自らの自由意思によりヌード撮影、性行為を伴うアダルトビデオ撮影に出演することを決意し、本契約期間中、甲の専属タレントとして、甲の業務支援の下でのみ本業務を行う。」
※PAPSメルマガ vol91にて「AさんがAVの撮影に巻き込まれて行ったのはAV人権倫理機構が設立され業界内刷新が図られて以降のことです。」という記述がありましたが、AさんがAV撮影に巻き込まれはじめたのは、AV人権倫理機構の設立前のことでした。この点について事実誤認がありましたので訂正します。なお、設立後もAさんは上記メッセージにある深刻な人権侵害を受け続けられました。関係者の方々におかれましては、ご迷惑をおかけしましたことを深くお詫びいたします。以後は再発防止に努めてまいります。文中の※印及び本訂正文は2020年5月12日、13日に加筆しました。
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