ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポンについて、ぱっぷすの見解 - PAPSメルマガ vol93



 4月23日に「ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン」にて、「コロナが収束したら、もの凄く絶対おもしろいことある〜苦しい状態がずっと続きますから〜美人さんがお嬢やります(~)稼がないと苦しいですから〜だから今、我慢しましょう」という発言について、ソーシャルワーカーで生活に困っている方や社会的に弱い立場にある方への 支援活動をしている藤田孝典さんが記事にて問題提起をされました( https://qr.paps.jp/Ae26V )。

 

 数日後、発言者の岡村氏が謝罪する形で幕を引こうとしました。しかし、その発言がなぜ差別発言になるのか全く触れない形での謝罪でした。これまでの芸能界では、風俗に行った時のエピソードをお笑いのネタにしても、社会的地位が脅かされることは全く無く、男性のステータスシンボルのひとつとして扱われてきました。



 それに対して、これまで多くの人たちが非難をしてきましたが、世論は、男性であれば、“セクシュアリティの否定”や“奇異な存在”として扱い、女性であれば、“フェミニストのたわごと”、“性的魅力がない人の嫉妬”として、お笑いのネタとして見世物にされてきた歴史がありました。そして、今回問題提起をした藤田さんは、いわゆる“セックスワーク論”の人たちから、性風俗当事者に寄り添ってない、性風俗で働く“かわいそうな女性”というレッテルを張った張本人として批判を通り越し、個人に対してネガティブキャンペーンが現在も行われています。


 ぱっぷすは、相談支援を行いながら性的搾取を私たちの世代で終止符を打つための活動をしています。相談支援の現場から、いったい岡村氏の発言の何が問題なのかを整理していきたいと思います。  よく性を買う側の主張として、性を買ってあげることで生活困窮の女性をサポートしてあげているのだ、と性を買うことに対し正当化することが行われます。しかし、今回の岡村氏の言葉を読み解くと、コロナ禍により、


  1. 貧困によってこれまで性を売った経験のない層の性を買えること

  2. 経済的に困窮して性産業に就かざるを得なくなること、つまり、「自由な選択」ではなく「性的搾取」といえるものをあからさまに肯定し、積極的に搾取に加担することを男性たちに呼びかけている

ところにあります。

 しかも、むしろその弱みに付け込んで、平時よりも得られるものが大きいので積極的に利用しようと呼びかけているわけですから、到底容認できる話ではありません。


 岡村氏の指摘の言説は、東日本大震災際のときにも起きました。ある方は、貯蓄していた大切なお金も全部切り崩して生活を切り詰め、やせ我慢をします。家賃の更新月など出費がかさみ、どこかの時点で耐えられなくなり、性風俗産業に従事することになります。お金がなく生活に困った女性たちを助ける福祉制度がないことにより、若い女性たちが命がけで払わせられてきた現状がありました。 

 

岡村氏の指摘は別の意味でそのとおりであり、収束しそうな頃からがとても重要だと考えます。東日本大震災のときは、ある方は、1~2か月程度は持ちこたえたとしても、その後限界に達し、生活困窮に陥り、風俗に従事することになりました。震災でもコロナでも、その後問題が収束しても、生活困窮の改善に即つながることはありません。ぱっぷすでは、居所の問題で困難な状況におかれた方に対して、現行制度の使い方の説明、家賃や光熱費などの生活費の支払い猶予や減免交渉など、さまざまな対応を模索していきたいと考えています。


 他にも、さまざまな事情で社会生活を営むうえで困難な問題を抱えている女性やDV被害女性の保護を行う「婦人保護施設」の利用の活用を緊急的に推進していく必要があると考えています。ひとりで生活を立て直すのはとても大変ですが、さまざまな制度を利用しながら生活を立て直していく方法を探していくことが一緒にできればと思っています、独りで抱え込まないことが大切です。



 ぱっぷすは、2017年から夜職(ナイトワーク)から昼職(朝から夕方までの仕事)に繋ぐための相談支援活動を行ってきましたが、コロナ禍の政府の方針として外出自粛が続いていることから昼職に繋げることができず、具体的な社会制度が整ってない中で何ができるか検討してきました。コロナ禍の中で、ぱっぷすに寄せられた相談でも、コロナウイルスの問題で生活に不安を抱えている話は複数の方から相談が寄せられていました。ぱっぷすでは4月27日から「今都内にいて、夜のしごと、性風俗で困っている女性へ」というアウトリーチを行い、家賃が払えない、仕事がしんどい、コロナ感染が心配、などのご相談を受付けることになりました。


 現代社会では、誰もが生活困窮に陥る可能性があります。たとえ貧困ではなくても、さまざまな理由で性産業と関りを持つことによって貧困になることもあります。 生活困窮に陥ると、性産業は”キラキラ”ときらびやかに見えることがあります。一方で、性産業は貧困を固定化してしまう側面があり、そうなると独りで抜け出せません。まずは、経済的な辛さ悲しみや苦しみを誰かに相談することがとても大切です。



どうか独りで抱え込まないであなたの声を届けてほしいと願っております。


ぱっぷすの相談支援事業を維持するために必要不可欠な相談員の人件費、事務所の維持費、相談者との面談のための交通費や施設費は、皆様からのご寄付で賄っています。 これからもより質の高い支援を継続して行っていくために、安定した活動資金を必要としています。 今後も、ぱっぷすの相談支援体制の充実をはかり、被害を無くすために努めて参りますのでご協力をよろしくお願いいたします。

https://www.paps.jp/supporter

771回の閲覧

(C)特定非営利活動法人​ぱっぷす(ポルノ被害と性暴力を考える会)

  • Instagramの社会のアイコン
  • 社会的なFacebookのアイコン
  • Twitter Social Icon
  • アマゾンの社会のアイコン