5月22日、ホストクラブ商法問題について、一般社団法人「青少年を守る父母の連絡協議会」及び特定非営利活動法人ぱっぷすは、武見厚生労働大臣・宮崎厚生労働副大臣と面会し、被害の実態を訴え、対策の強化を求めました。武見大臣は面会の冒頭において「実態を把握し、解決のために何をすべきか意見を聞きたい」と話しました。
以下は、ぱっぷすの発言内容です。
「相手の恋愛感情を利用して高額な飲食代を請求させる悪質商法」いわゆる「ホストクラブ商法」により、若年女性が所有資産以上のお金を使わせ、その支払いのために、性を売らざるを得ない状況を作り出します。これは人身取引・性的搾取の入り口です。さらに、ホストから性行為を断れずに応じてしまい梅毒などの性感染症になった方・中絶を余儀なくされた方も多くいます。
売掛金が支払えなくて困っているといって相談に来られる相談者はいても、「ホストに通うことをやめたい」と本人から相談にこられる方はすくなく、売掛金のためのお金が手に入ればまた通い、また売掛金をつくってきて抜け出せなくなる「マインドコントロール」や「依存状態を作り出す」システムが問題です。
ある被害者は、ホストクラブのオーナーがスカウトに依頼して、米国の売春宿に期限付きで売り飛ばされ、事実上の軟禁状態で、ほぼ毎日客を取る滞在をさせられました。帰国後は、そのつらさから大量の錠剤を服用して病院に運ばれるなど、心身に深刻な被害が続いています。こういったことから、ぱっぷすでは、本件のような事柄は、人身売買・人身取引事案であると考えています。
最近の報道発表においても被害に関連した集団暴行・傷害致死事件から、海外売春斡旋など組織犯罪の温床にもなっており、被害女性の中には自死を選択された方もいます。
ぱっぷすでは、昨今の状況をなんとか食い止めるべく、支援活動を展開していますが、ホストクラブ商法などの「性的搾取」を抑制・撲滅する法律は現在ないため、正直なところ、若年女性の福祉は性的搾取をする人たちたちに敗北しています。
10代の頃にホストクラブ商法の被害を受けたスタッフも参加し、ホストクラブが行っている加害実態について詳細に説明することができました。
ぱっぷすでは、最後に以下の提言を行いました。
保護については、
ホストクラブ商法被害者の保護(例えば、逃げる、抜け出す手段を確保。そして、被害女性を売防法等で逮捕すると、排斥感・孤立化につながるため、逮捕しない配慮)
暴力や梅毒・ B型肝炎などの性感染症・妊娠した方への早期の支援や関与
訴追・処罰・規制については、
勧誘(スカウトやキャッチ)の取締強化、職安法・風営法など最大限駆使した取締強化
加害や再犯をさせない・罰則の強化、ウェブ広告・看板やアドバスに対する規制、半グレ・暴力団などの反社会勢力の排除の強化
被害救済・社会復帰については
高額な飲食代・売掛金という名の債務の取消・支援
被害者に対しての手厚いケア「孤立・依存からの脱却支援」
加害・被害予防については
ホストクラブ商法中心地における路上アウトリーチ強化
若年男性に対して恋愛感情を利用して高額な飲食代を請求させる悪質商法の周知
被害者が自己責任に感じない言葉の置き換え(具体的には 立ちんぼを→性を売らざるを得ない女性、出稼ぎを→海外売春斡旋)
意見交換後、武見大臣は、今できることとして、被害者の相談を受ける支援センターの職員の研修を強化し、関係省庁及び官民で連携し、できることをしっかりとやっていく旨の回答がありました。
今回の面会は、政府としてできることを最大限駆使して取り組んでいくことを確認することができました。被害救済についての小さな一歩かもしれませんが、大きな前進に繋がるきっかけになったと考えています。現行法では限界があるために、ぱっぷすでは被害救済に必要な法整備について提言などを行っていく所存です。
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