メルマガvol.111「削除要請事業報告会とその後」



 ぱっぷすでは被害者支援の一環として、児童ポルノ、リベンジポルノ、盗撮、アダルトビデオなど、インターネット上の意に反して拡散した性的画像記録の削除要請活動を無償で行っています。2019~2021年度の削除要請事業は、社会福祉医療機構(WAM)の助成を受け進めて参りました。

 2020~2021年におけるぱっぷすの削除要請事業の現状や成果、今後の課題をご報告するため、2021年8月29日(日)15時より、「意に反して拡散した性的画像記録の削除要請事業報告会」をオンラインで開催しました。ありがたいことに予約の段階で100名以上の方から申し込みがあり、当日はマスコミの方々を含め70名以上がご参加くださいました。ぱっぷすの活動およびデジタル性暴力への世間の関心は確実に高まっていると感じます。SNSその他で情報の拡散にご協力くださった方々にも改めてお礼申し上げます。

 本報告会では、初めに「デジタル性暴力とはなにか」ということと、「性的同意の定義」、「デジタル性暴力に遭われた方の相談がぱっぷすの削除要請事業に引き継がれるまで」をご説明しました。  インターネット上にはアダルトサイトが無数に存在しており、いくつか単語を組み合わせて検索するだけで、日本では違法の無修正画像を含むあらゆる性的画像記録が一瞬で目の前に現れる状態です。アダルトサイトに設けられた「18歳未満は入場禁止」といったゲートもあまりにハードルが低く、子どもの目にしたものが暴力的で差別的な、人権侵害といえる性的画像記録であっても、その後の影響について責任を取る人はいません。


 スマートフォンの普及により性的搾取ビジネスが巧妙化していく中、ぱっぷすには「デジタル性暴力」に関する相談がたくさん寄せられています。SNS等で知り合った第三者に言葉巧みに誘われ裸の写真を送ったという「自画撮り被害」は、被害者の低年齢化が進み、より一層深刻です。

  

 報告会では、アダルトサイトの中でも特に、「動画を投稿・販売できるプラットフォームが増加している」ことに言及しました。登録に必要なのはメールアドレスのみで本人確認がなく、動画の投稿もSNSのように簡単で、アフィリエイトで小遣い稼ぎしたいと目論む人々が多く参入しています。2020~2021年、ぱっぷすの削除要請で最も件数が多かったのは、一般の個人でも登録可能なアダルト動画投稿サイト(FC2)でした。

 デジタル性暴力の加害者は、匿名性を逆手に取り、もともと違法であるリベンジポルノや児童ポルノ、盗撮動画などを、“合法的”とされるアダルトビデオであるかのように投稿・販売しています。  加害側は匿名で安易に投稿・拡散していますが、被害に遭われた方が自身の性的画像記録をネット上から消すためには、ひとつひとつに削除要請しなければいけないのです。  誰のものかわからない大量のアダルト動画と、次々に表示される性的な広告を前に、問い合わせフォームや管理者の連絡先を探すのは苦痛です。事業者から身分証の提出を求められて書類を送っても、何の対応もされないということもあります。デジタル性暴力被害に遭われた方の多くは、意に反して性的画像記録をアップされ拡散する「一次被害」だけでなく、こういった”一次被害に起因する二次被害”も受けることになり、理不尽極まりません。  性的画像削除について相談くださった方には、「誘いを断れなかった自分が悪い」「撮影させてしまったから」とご自分を責めてしまう方がいらっしゃいます。しかし、被害に遭われた方はけっして悪くありません。「被害側の自己責任」ではなく、たとえば「同意もなく相手の裸を撮らない」「無断でネットにアップしない」といった加害側の問題を、社会全体で当たりまえの考えとしなければいけないのです。「加害側」に意識を向けなければ、性暴力の罪の意識はどんどん軽くなり、被害者のみならず加害者の低年齢化が進んでゆくでしょう。

 ネットの利用が当たり前となり、子どもでもスマホを持つ今、性的搾取はすっかり生活圏内に溶け込んでいます。

 今後の活動としては、要請に応じないサイトに対しての新しい試みを模索中です。削除チームでは、プラットフォームを提供する事業者へのアプローチを強化するため、すでに連帯しているアジア(中国・台湾・韓国)の団体の他に協力関係を打診したり、米国や北米の活動団体繋りを探そうと海外在住の削除スタッフと連絡を取り合っています。

 同時に、誰もが知る大企業がアダルトビデオを大々的に売る事実に対し、性的搾取の観点から「企業倫理の見直し」を図るよう問題提起する、そういった「社会を変える活動」なども引き続き進めていきます。

 ぱっぷすの削除要請事業は、デジタル性暴力に遭われた方が性的画像記録の削除要請において精神的・肉体的・金銭的ダメージを負わないように、そしてご本人の尊厳が回復し、社会復帰に繋がることができるようにと行われています。

 相談や削除要請にかかる費用を無料にできるのは、助成金と皆さまの温かな寄付金があるからです。

 これからも、ぱっぷすの削除要請事業を「性暴力・性的搾取に終止符を打つためのプロジェクト」として応援いただきますよう、心からお願い申し上げます。

【2021年度削除要請事業報告書はこちらからダウンロードできます】

https://up.paps.jp/delete2021

【デジタル性暴力被害者支援センターHP】

https://stop.or.jp/


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