
- 2022年7月28日
メルマガvol.125「盗撮などのデジタル性暴力の被害をなくすには?~刑法性犯罪改正への働きかけ~」
刑法に性犯罪が規定されたのは明治時代。それから110年後の2017年まで改正されずにいました。この改正は性暴力・性被害にあった当事者が声をあげ、専門家が後押しをして、議員が各方面へ働きかけるなど地道な運動が実を結んだ結果とも言えます。ぱっぷすも参加している「刑法改正市民プロジェクト」では、性的動画・画像の撮影や拡散被害を無くすために、“撮影罪”という新たな法律の制定を要望しています。刑法改正市民プロジェクトに関るスタッフのAさんに、新人スタッフBが話を聞きました。 === A)ぱっぷすで相談員とロビー活動を担当しているAです。法律に規定されていない、抜け落ちてしまっている性暴力があることを多くの人に知ってもらいたいです。 B)ぱっぷすで活動していて「性的動画や画像の拡散被害がこんなに広がっているのに、なんで犯罪として認められていないの?」と思います。法律上の扱いを教えてください。 A)性犯罪に関する刑法は1907年(明治40年)に制定されて、110年後の2017年にやっと改正されました。この改正では、性暴力被害当事者や支援者の声がようやく法律に反
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- 2022年7月5日
メルマガvol.124 「2022年6月23日『AV出演被害防止・救済法』施行」
6月23日に施行された「AV出演被害防止・救済法」では、AV制作に当たって性暴力被害に直結する性交の契約を無効とする条文を入れることはできませんでした。理由は、民法上の基本原則として、「契約自由の原則」があり、公序良俗に反しない契約は「有効」とされ、当事者の自由な選択の結果であるかぎり国は契約に介入するべきではないという理念があるためです。この原則を隠れ蓑にして、これまでAV業界では、性暴力・望まぬ妊娠・性感染症など、慣例的にひどい人権侵害が続いていました。 AV撮影での性交の契約が公序良俗に反するかどうかは、判例の蓄積が必要であることでした。ご承知のとおり、性交を伴う“愛人契約”は判例の蓄積により、人の尊厳や基本的人権の観点から公序良俗に反する無効な契約とされてきたことで、民事的に多くの被害者が救済されていました。しかし、今回のAV出演被害防止・救済法では、18歳19歳取消権の穴を一刻も早く塞ぐ必要があり、性交の契約に対し無効もしくは取り消すことができる条文を盛り込むことができずに、成案を目指しました。 法案審議過程において、「性行為の契約を合
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